無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「その……善に、会いに、行き、ま、した……」
ウソのつきようがないので、私は結局正直に話した。
工夫したと言えば、恥ずかしさを軽減するために部屋の扉に向かって口を開いたことくらい。
しかし、善からは返事もなければ相づちもない。
少しだけ沈黙が続き……私は不安になり、善へと視線を向けた。
すると、善は真顔のまま私のほうへと近づいてきた。
え⁉︎ え⁉︎ え⁉︎
プチパニックを起こす中、私はとりあえず逃げるために自分の部屋の扉を開けた。
すでに私の真後ろにいた善はそのままドアノブを持って扉をさらに開け、自分も私の部屋へと入ってきた。
すぐに扉は閉められーー扉に寄りかかる善に腰をつかまれ、私は善のほうへ引き寄せられた。
行き場をなくした私の両手が善と私の間に挟まる。
「さみしくて、会いたくて、触れたかった?」
熱を帯びた善の目が、甘い声が、私を惑わす。
私がそう聞かれたら、「うん」としか言えないことをわかってる。
「俺も」
善はそう言ってーー触れるだけのキスをしてきた。