無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
俺のかわいい彼女
秦くんに告白をされた日から1ヶ月が経った。
秦くんは相変わらず塾では私のとなりに座り、帰るときもしつこく話しかけてくる。
そのため、善がバイトの日は善に塾まで迎えに来てもらい、いっしょに帰ることにした。
秦くんがついてこないようになにかと理由をつけて……。
私と善のことをバラすと言っていたのに、一向にうわさは回ってこない。
脅しただけで、本当にバラすつもりはなかったのかな……。
なんて、思っていた矢先のことだった。
寒い日もだんだんと少なくなりーー花が咲き始める3月。
2年生もあと少しで終わり。
学期末にはクラス対抗の球技大会が必ず行われるのだが、ついにそれが翌日となった今日。
朝、登校すると……明らかに視線を感じた。
廊下を歩いていても、あちこちから聞こえる私の名前。
「あれが若菜凛李……?」
「いくらなんでも地味すぎじゃない……?」
話したこともない人たちが私の名前を口にする。
……私に蔑むような目を向けながら。