無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

俺のかわいい彼女


秦くんに告白をされた日から1ヶ月が経った。

秦くんは相変わらず塾では私のとなりに座り、帰るときもしつこく話しかけてくる。
そのため、善がバイトの日は善に塾まで迎えに来てもらい、いっしょに帰ることにした。
秦くんがついてこないようになにかと理由をつけて……。

私と善のことをバラすと言っていたのに、一向にうわさは回ってこない。
脅しただけで、本当にバラすつもりはなかったのかな……。
なんて、思っていた矢先のことだった。


寒い日もだんだんと少なくなりーー花が咲き始める3月。
2年生もあと少しで終わり。
学期末にはクラス対抗の球技大会が必ず行われるのだが、ついにそれが翌日となった今日。

朝、登校すると……明らかに視線を感じた。
廊下を歩いていても、あちこちから聞こえる私の名前。



「あれが若菜凛李……?」

「いくらなんでも地味すぎじゃない……?」



話したこともない人たちが私の名前を口にする。
……私に蔑むような目を向けながら。

< 248 / 390 >

この作品をシェア

pagetop