無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

なんでこんな視線を向けられているのか……だいたい予想がつく。
足に重いおもりでもついてしまったのではないかと思うほど足取りは重くなり、私は恐る恐る自分の教室へと入った。

私が扉を開けると、教室内にいる人みんなが私のことを見てきた。
この瞬間、私は人気者には向いていないなと心底感じた。

そもそも人気者にはなれないけど、善や瑠月のように周りから常に注目を浴びている人たちはこうして見られることが日常なんだろう。
私は地味だ目立たない存在なので、まず視線が集まることがない。
……そう考えると、人気者って苦労者なんだなとこんなときなのに労いたくなってくる。


自分の席に座り、かばんの中身を取り出し机の中へと入れる。



「若菜さん、少し聞いてもいいかな?」



クラスがいっしょの女の子が、私の机の前に来てそう言った。


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