無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
突然の出来事に驚きすぎて私は相当間抜けな顔をしていると思う。
こんな風に笑うんだこの人……。
私は思わず下唇を噛む。
「……ありがと」
私がお礼を言うと、コップを持って再びソファの方へと行ってしまった。
なんだったの今のは。
無意識であんなことしちゃうの?
男の人にはじめて……顔を触られた。
柊木善が触れたところだけがジンジンする。
スパゲッティがなんとか出来上がり、私たちはテーブルで一緒に食べた。
男兄弟がいるとこういう感じなのか……。
それにしても食べる姿も憎いくらいかっこいいな……絵になるとはまさにこのこと。
グレーアッシュの髪の隙間から見える顔のパーツすべてがきれいで、不覚にもつい見てしまう。
「……そんなに見られると食べづらい」
私のことを一切見ずにそう口にする柊木善。
見てるのバレてたんだ……。
ごまかすように一気に口にスパゲッティを入れてしまった私は、見事にむせる。