無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
善は後ろに私を隠したまま、女の子たちを呼び止めた。
どういう状況なのかを知りたいので、少しだけ顔を出した。
「俺さ、凛李以外に興味ないんだ。だから、こういうことされるとものすごく腹立つ」
「……っ」
「めんどうなこと好きじゃないから、もうしないって約束できる?」
女の子たちは涙目でコクコクとうなずき、善の威圧感がすごかったのか逃げるようにその場から走り去っていった。
今日だけで一気に疲れた……。
こういうことは想定していたつもりだったのに、想像以上の気迫にかなり神経をやられてしまった。
「凛李、大丈夫?」
眉を下げて心配そうに私の顔を覗きこんでくる善。
「……少し、大丈夫じゃない」
善が悪いわけじゃないのに、善がモテるせいだから……という小さな抵抗で、少し意地悪を言ってみた。
すると、善は優しく私の頬に触れ……指でゆっくりと撫でてきた。
私の瞳の奥まで見透かそうとしているんじゃないかというほどジッと見つめられ、恥ずかしさのあまり私から視線をそらしてしまった。