無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「なにしてほしい? どうしたら安心する?」
さっきまでの不機嫌な声とは反対に、いつもの優しくて甘さが混じった声。
そんなことをこんな至近距離で言われたら心臓がもたない……。
「善がこうやって来てくれたからもう安心できたよ。ありがとう」
「俺のほうが安心できそうにない」
「え?」
「これからもこんなことが凛李に起こるって考えただけで狂いそう。いっそのこと、ずっと俺のとなりにいなよ」
「そ、れは無理でしょ……クラスだってちがうんだし」
「クラス変えてもらおう。もうすぐ3年だしクラスいっしょにしてもらお。成績がいい凛李のお願いなら聞いてくれるよ」
「いくらなんでも……」
「とにかく、しばらくは俺の目の届くところにいて。いい?」
言ってることが本気なのか本気じゃないのかわからないけど、彼氏として心の底から私のことを心配してくれていることがうれしくてたまらくて、愛されているんだなと改めて実感することができた。