無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「そういえばなんだけど、春休みに父さんと母さんが帰ってくるらしい」
最寄駅につき、そこから家までの帰路ーー善がサラッとそんな報告をしてきた。
「えっ⁉︎ いつ帰ってくるの……?」
「明日」
「あ、明日⁉︎」
「ひみつにしてたみたいで、俺もさっき唯さんから聞いた」
サプライズ好きなのはいいけど、こういうことは心の準備が必要なんだから前もって言ってほしい……。
「でも、善たち家族が住んでいた家は知り合いに貸しちゃってるんだよね? どこに泊まるの?」
「凛李の家」
「……」
「唯さんに、部屋は空いてるから何日でも泊まっていいよーって言われたみたい。春休み中はいるって」
「……」
「凛李?」
そもそも、善のご両親には会ったことがなければどんな人なのかも知らない。
お母さんとお父さんは仲が良いらしいけど、私と瑠月がいないときに会っていたみたいだからまったく面識がない。