無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
まさか善も私と同じように育ってきたとは思いもしなかった。
他の家族と比べることがまずなかったので、こうして共感できることがうれしい。
「明日も塾?」
「うん。善バイトだよね?」
「用事があるからって言ったら早めにあげてくれることになった」
「いっしょに帰れそう?」
「うん。凛李より少し遅くなりそうだからカフェで待ってて」
「わかった」
明日もいっしょに帰れることになり、内心は飛び跳ねたいほどうれしい。
「俺の親は夕方に空港に着いてそのままタクシーで家まで来るらしい」
「じゃあ、同じくらいに家に着くかもね」
「うん。みんなで集まったときに俺たちのこと話す?」
「……そうだね、そうしよっか」
そうだった、明日のメインイベントはそれだった。
善といっしょに帰れることに興奮して少しの間そのことを忘れていたよ……。
本題は、私たちのことを話さないといけないんだった。