無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「とりあえずこっちに座ろ」
善はそう言って公園のはじにあるベンチを指差し、私は善に従ってそのベンチに座ることにした。
「勝てるはずがないと思ってたのに、この勝負にのってくれたの?」
「……断る理由もないから」
「そういうところ、男前だよね」
「それは褒められてるって思っていいの?」
「うん。俺は、そういう潔い凛李も好き」
「……ありがと」
不意打ちの好きにドキドキしてしまうけど、正直今はそれどころじゃない。
果たして、善のお願いとはなんなのだろうか……。
今はもうそれしか頭にない。
「それで、お願いってなに?」
「まだ考えてない」
「え? なにかしてほしいことがあるからこんな勝負したんじゃないの?」
「まったく。ただ、もう少し凛李といたかったから」
「帰っても会えるじゃない」
「俺の親もいて、さらにイチャイチャできなくなるじゃん」
「……っ」
なんだか、今日の善は一段と甘さが増してる気がする……。