無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

どこで話を切り出そうーー。
そう思っていたら、善が食い気味に「あの、みんなに話があります」と先頭に立って言ってくれた。

私の目の前まで来てくれた善のご両親はソファに座り、「なになに?」と善のお母さんは目を輝かせ、お父さんは善のことをジーッと見ている。

私と善はソファが囲むテーブルの前に並んだ。
それぞれの両親から視線を浴び、すでに緊張で倒れてしまいそうだけどここはがんばらなければいけない。

……すると、私の手を善がギュッと握ってくれた。
そのおかげで、少し緊張もやわらいだ。



「……実は、俺たち付き合ってます」

「お母さん、お父さん、今まで話せなくてごめんなさい……」



私が頭を下げると、善も合わせて頭を下げた。
私が内緒にしようと言ってて、善はそのとおりにしてくれただけ。
私が早く話していれば、こんな状況ではなかったはず。

隠しごとなんてしたことがなかったから、この感情は罪悪感なんだと初めて知った。

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