無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
私は私なのに……。
どうして比べられなきゃいけないんだろう。
「もしもし?どうしたの〜?」
瑠月は約1年前から付き合っている彼氏の二見 刀夜(ふたみ とうや)からの電話を甘えた声で出た。
瑠月が中学3年生のときに、駅前で男の人に絡まれているところを刀夜くんが助けてくれたのがきっかけで2人は付き合うようになった。
あとで刀夜くんが私と同じ高校の1年生だとわかり、もちろん瑠月はそこを受験した。
陰ながら瑠月の恋を見てきたけど、私には無縁の世界だなぁと思う。
デートに行くたびに初デートかのように嬉しそうにしたり、ケンカをして目を泣きはらして帰ってきたり……。
誰かの言動に振り回されて疲れないのかなと思う。
……私だったら、疲れてしまうな。
見た目や性格こそ正反対な私と瑠月だけど、ケンカはしたことがない。
お互いのことを誰よりも知っているからだと思う。