無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
怒られる? 罰を与えられる?
容量よく両親の言うことを聞いて生きてきたので、まず怒られた経験がない。
みんながどんな表情をしているのか怖くて見れず、とりあえず私は床だけを見ていた。
「ふふ、やっと話してくれたのね」
え……?
想像していた怒った声とは遥かにほど遠いお母さんのうれしそうな声におどろいた私は、お母さんへと視線を移した。
「気づいてたの?」
「ええ。何年あなたの母親やってると思ってるの?」
「まさか、瑠月言ったんじゃ……」
「瑠月からはなにも聞いてないわ。ただ、みんなでご飯を食べてるときとか、凛李と善くんがしゃべってるときの2人の視線でわかったの」
お母さんが気づいていたなんて想定外すぎる。
私と善は顔を見合わせ、苦笑いをするしかない。
バレていないものだと思いながら一つ屋根の下で生活してきた私たち。
……お母さんは知っていたんだと思うと、すごく恥ずかしくなってきた。