無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

それでも結局断ることができないのは、それが私の本音だということ。
知らない扉を開きたいと思っている証拠だ……。



「服、めくるね」



善の優しい声のあと、善によって背中側の洋服がめくれあがっていくのがわかった。
背中は空気に触れ、少し冷たい。

善は私の背中に5回キスをした。
4回までは触れるだけのキスで、5回目はなぜか少しチクッとした。

キスをされている間、私は善の触れるところに集中していた。
とにかくそうするしかなかった。
他のことを考える余裕もなければ、かわいい反応をすることもできない。
そもそもどうするのが正解なのかわからない。


だからこそ……善からのキスを受け止めた。


5回のキスが終わると、善はなにも言わずに静かに私の服を元に戻した。
内心……すごくホッとした。
だって、これだけで未だかつてないほど鼓動が早くなって自分が自分じゃなくなるような気がしていたから。

< 309 / 390 >

この作品をシェア

pagetop