無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
いつもどちらかというと相談にのるのは私のほうで、小さいころから頼りにされてきた。
しかし、恋愛のこととなると別だ。
瑠月のいうとおり、瑠月にしか相談できないんだから、ここは恥ずかしさをなくすしかない……。
私は意を決して口を開いた。
さっき善の部屋であったことと、聞きたかった善の言動を話した。
「それで、善がなんでため息をつくのかわからなくて……」
「なるほど。それは柊木くんとても気の毒だね」
「え⁉︎ 善が気の毒⁉︎」
瑠月の解答にますます真相がわからなくなってきた。
「キスの先があることは凛李も知ってるよね?」
「……まあ、そりゃあ……」
「そうやって好きな人と触れ合ってたら、もっと触れたいって思うのが健全な男子なの。もっと先に進みたいって思うものなの」
「……」
「つまり、柊木くんはそれより先に進もうとした自分の気持ちを抑えて、理性を保ったってことだよ。凛李が大切だから」