無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
キスの先ってつまり、もっと、その、男女が触れ合う行為ってことだよね……?
善は私の背中にキスをしながら、その先へと進みたかったってこと?
だけど、私のためにそれを我慢したと……。
我慢するために、ああやって頭の後ろで手を組んでそれ以上なにもしないように気持ちを落ちつかせてくれてたってこと……?
「たぶん、そのまま先に進むこともできたけど、凛李が怖がるのわかってたんじゃない? それはいやだから我慢してくれたんだよ」
「……そういう、ことなの……?」
「それくらい凛李が大切ってことだと思うよ?」
まさか、そんな理由だったとは。
私のためにそうしてくれたんだと知って、今さらだけど胸の奥がときめいた。
「あ、だからってわざわざ柊木くんにお礼を言ったらだめだからね」
「どうして?」
「それは男のプライドがあるからだよ。凛李にちゃんと説明しなかったのだって、このことがバレたくないからじゃない?」