無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
善の口から聞く初めての言葉たち。
今まで強い意志を持って生きてきたんだと思うと、この場ですぐにでも抱きしめたい衝動にかられる。
「まだまだ子どもなおまえが1人で暮らせるはずない。とりあえず高校を卒業したらアメリカに来なさい。そこでいろいろ学んでからなら1人暮らしでもなんでもするといい」
「……いろいろ学ぶってなにを? 学びたくもないことを学ぶ必要がある? 時間の無駄だと思うんだけど」
「……時間の無駄だと? 親がいっしょに暮らそうと言ってるのに、どうしてはいと言えない?」
「俺のことを子どもだと思ってるなら、子離れしてくれよ。俺はずっと独り立ちしたいと思ってたんだ」
ヒートアップしてきたお父さんと善。
その2人を落ちつかせるために「2人とも、もう少し冷静に話しましょ……?」となだめる善のお母さん。
「お母さんたちと暮らしたくないわけじゃない。ただ、高校を卒業してからは1人でできることはがんばってみたいんだよ」