無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
善のお父さんのように、自分の思い通りにしようとするのはまちがっていると思う。
……なぜなら、私たちはもう自分で考えて行動できるから。
善ならなおさらそうだ。
バイトをたくさんして、自立するために努力している。
それくらいじゃ甘いと思われるかもしれないけど……それでも、子どもからしたら少し離れた場所から見守っててほしいと思ってしまう。
さっきの善のめずらしく力強い話し方がーー耳から離れない。
その声から、善の本気度がわかった。
早く善のお父さんに善の想いが伝わるといいな……。
私はそんなことを考えながらお寿司を口に入れ、お腹いっぱいになったところで、善の部屋に向かうことにした。
やっぱり心配だ。
善の心にはするどい矢がたくさん刺さっているはず。
……私がそれを少しでも取り除いてあげたい。