無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
コンコンーー。
「入るね」と声をかけてから、善の部屋の扉をゆっくりと開ける。
善は壁側を向いてベッドに横になっていた。
私が近づくと足が少しだけ動き、寝ていないことはわかった。
ベッドに腰かけ、私が座った部分だけ沈む。
「カフェのこと、初めて聞いた」
「……」
「あんなに真剣に考えていたんだね」
善からの返事はなく、もう少し1人きりにさせてあげるべきだったかな……? と思っていると、善が口を開いた。
「話せてなくて、ごめん。まだあやふやな部分も多いから、ちゃんと全部決まってから話そうと思ってた」
「謝らないで……それに全然あやふやでいいと思う。むしろ、その途中の段階の話を聞きたかったの。善が悩んでいる時間を共有したかったの」
「今まで誰かに相談することがなかったから、なかなか話せなかった。でも、今日話せてスッキリしてる」