無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「今日はめずらしくみんないないね」
「そうですね。静かですよね」
温かい紅茶が飲みたいので、電気ケトルでお湯を沸かす。
「凛李ちゃん、善は普段からあんな感じなのか?」
善のお父さんはそう言って、読んでいた本を閉じた。
「あんな感じというのは……」
「昨日もそうだけど、あからさまに不機嫌になるだろ? いつもそうなんだとしたら、凛李ちゃんに申し訳なくてね」
「……」
「昔は喜怒哀楽をはっきりと見せる子じゃなかったから余計にね」
昨日の態度はたしかに幼稚だったと思う。
だけど、善のお父さんも善をわざと怒らせるようなことを言ってたから、仕方ないなとは感じた。
「今も感情を表に出すほうではないと思います」
私がそう口にすると、善のお父さんは私へと顔を向けた。