無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「おお、やっぱりか」
「……でも、それは学校や外にいるときで、私といるときは喜怒哀楽がはっきりしているかもしれません」
「……つまり、凛李ちゃんの前ではあんな風に怒ったり自己中だってことか?」
「いえ、そうじゃなくて……落ちついてちゃんと自分の気持ちを話してくれます。私が悩んでいたときも、真剣に向き合ってくれました」
「……善が?」
「はい」
善のお父さんは「ハハッ」と笑って、自分の髪の毛をくしゃっとつかんだ。
そのあとも「あの、善が?」と、うれしそうにひとりごとを言っていた。
「私の知ってる善とはまったくの別人だ。私が言うことに対して反論してきたことがないんだ。だから、勝手に私が善の進む道を決めていいものだとかんちがいしていたのかもしれないな……」
「……」
「そうか、凛李ちゃんには自分を出せるってことなんだろうな。善も変わったんだな……」
天井を見ながら、しみじみとする善のお父さん。
善も変わったように、善のお父さんもいい方向に変わって2人には早く仲直りしてもらいたいな……。