無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

私と善のお父さんは車でカフェへと向かうことにした。
カフェ専用の駐車場がないため、近くの駐車場に車を停めた。
歩いて3分ほどで着き、善のお父さんはお店の中へ入る前に一度立ち止まって深呼吸をした。


きっと、こういうのがはじめてなんだろう。

善は恥ずかしがるか、いやがるかのどっちかな気がするけど……それでも善のお父さんの気持ちに気づいて2人がいい方向へと向かってくれることを私は祈るしかない。


自動ドアが開き、偶然にも近づいてきたウェイター姿の善。
私とお父さんの存在に気づいたけど、特になにも言わずに席へと案内してくれた。



ここへ来る途中、善のお父さんは紅茶が苦手だと話していた。

善はこのお店で働くことによって紅茶の魅力に惹かれ、カフェ経営をしたいと思うようになったんだと言ってた。
だから、少しでもその熱量が善のお父さんに伝わればうれしいんだけどなぁ……。

……そうだ。
いいことを思いついた。

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