無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

「すみません」



近くにいた善に声をかけ、注文をとってもらうことにした。



「紅茶があまり得意ではないんですけど、おすすめの紅茶ってありますか?」



私が紅茶好きなことを知っている善は、声にはしないけど「なに言ってんだ?」という顔で私のことを見てくる。
しかし、いっしょに来ているお父さんのことだとすぐに察したのか……店員として、メニュー表をテーブルの上で広げて説明をしてくれた。



「普段はどういったものを飲まれることが多いですか?」

「……コーヒーが多いかな」



善のお父さんもお客さんとしてたどたどしくも、善の質問に答えた。



「それですと、こちらのアッサムとケニア紅茶がオススメです。アッサムはくせが少なくて濃厚な味わいがします。ケニア紅茶は深いコクと適度な苦味があるので、コーヒーが好きな方には人気な種類になっております」

「……なるほど……」

「私はいつもダージリンなので、今日はちがう種類にしようかと思ってるんですけど……」

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