無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
続き、する……?
帰りの車では行きと同じくクラシックが流れ、私も善のお父さんも無言だったけど、心なしか善のお父さんの機嫌が良いように見えた。
「……想像以上に、ちゃんと働いていておどろいたよ。てっきり適当にバイトをしているんだと思ってた」
「……」
「親が気づかない間に子どもは成長しているんだな……」
「……」
「まだまだ子どもで1人じゃなにもできないと思ってたけど、そんなことないんだと痛感したよ」
「善は、なにも考えていないようで、実はすごく考えている人なんだと思います。カフェでのバイトも、どんなに疲れていてもがんばっていました。それは……自分の夢のためなんだと思います」
私は善のそんな真面目なところに惹かれた。
無気力でなにも考えていないときのほうが多いかもしれないけど……しっかりしなきゃいけないときは切り替えられる人だ。
そんな人だから、いつもくれるアドバイスもすんなり聞き入れることができるんだと思う。