無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
普段から適当に生きて目標もなにもない人だったら、尊敬できないと思う。
……あくまで私の意見だけど。
「私よりも凛李ちゃんのほうが、善のことを理解しているんだろうな」
「いえ、そんなことは……」
「いやいやそんなことあるよ。結局親というのは子どもがある程度大きくなってしまえば話す時間も少なくなって、子どものある一部分しか見なくなってしまうんだ」
「……」
「……特に私なんて、昔からそうだったのかもしれないな。私の意見を押しつけて、善のことを縛りつけていたのかもしれない」
「……」
「この前、私がアメリカに行こうと誘った日に善が反論してきて最初は怒りが込み上げてきたんだ。私が準備したレールを渡れば人生上手くいくのに……と。でも、それは善という人間の人生じゃなくなってしまうんだよな」
善のお父さんは、どうするべきかをその数日後に善のお母さんにはじめて相談をしたらしい。