無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「凛李も善って呼べば?しばらく一緒に暮らすんだし」
「……呼び捨てに……⁉︎ いきなり無理だよ……」
男の子を呼び捨てで呼んだことのない私にとってかなりの難題だ。
「それに、刀夜のことは下の名前で呼んでるじゃん」
「刀夜くんは、瑠月の彼氏だから身内みたいな感じで……しかも、呼び捨てじゃなくてくんづけだし……」
「同じ屋根の下で暮らしてる俺より、刀夜のほうが近い距離にいるってこと?」
「……う」
「これからは善って呼ばないと反応しない」
「え……っ⁉︎」
そんなわがままが通用するとでも思っているんだろうかこの人は。
……思ってそうだな。
どんなわがままを言っても通りそうだもの。
「宿題な」
「宿題って……」
「勉強好きだから宿題も好きだろ?」
「それとこれとはまた話が別で……」
私の返事も聞かずに立ち上がる柊木善は「じゃあ、呼び捨て頑張ってね」と言って、ソファから離れる。
立ち去る間際ーー。
「あと、もうちょいお肉つけてほしいな。そしたら、さらに寝心地良さそう」
柊木善はそう言い残していった。
え?それって、つまり……また次があるってこと……?