無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

「父さんが?」

「善の真剣に働いてる姿を見て、善の夢に対する想いを感じたみたいだった。知らない間に成長してたんだなぁ……って、帰りの車で反省してたよ」



信じられないのか、鼻で笑いながら私の話を聞く善。

帰りの車で善のお父さんが私に話していたことを、すべてじゃないけれど善に話した。
途中で、さすがに私がこんな作り話をするわけないとわかったのか……ベッドに座って真剣に聞き始めたのが印象的だった。



「お父さんも善と真剣に向き合いたいんだと思うの。だから、その、ちゃんと話してみたらどうかな……」



余計なお世話かな……と思いつつ、結局首をつっこんでしまう。

今では私の中で存在が1番大きいのが善。
誰よりも……大切な人。
善には幸せでいてほしい。

そんな私の想いが届いたのか、善は「考えてみる」と小さく返事をした。

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