無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

気持ちよく寝てしまった……。
後悔にさいなまれながらも起きあがろうとしたそのときーー。



「うわっ……!」

「おはよ」



顔を横に向けたらすぐそこには善の整った顔があり、私はおどろきのあまり大きな声を出してしまった。

善はそんな私を見てうれしそうに笑う。



「ど、ど、どうしたの……」

「会いたくて」

「……会いたくてって、昨日も会ってるじゃない……」

「それじゃ足りない」

「……そ、そうなんだ」



朝からはかなりヘビーな甘い言葉を次から次へと浴びせてくるあざとさ100%の善。

私も会いたかったし、もっといっしょにいたいっていつも思ってる。
善の気持ちといっしょだ。

……だけど、恥ずかしくてそんなこと言えそうにないので、私は必死にニヤけるのを我慢する。



「お父さんと話したんでしょ? どう、だった……?」



寝起きの目が腫れてる顔を見られたくなくて、私は布団で顔を半分隠した。

< 343 / 390 >

この作品をシェア

pagetop