無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
すでに寝顔は見られてしまってるけど、せめてもの抵抗。
いくら女子力が欠如しているからといって、自分のコンディションが低い顔は見られたくない。
「話したよ。たぶんこんなに長い時間父さんと話したのはじめてだと思う」
「どのくらい話してたの?」
「夜中の2時まで話してたから、5時間くらい」
「そんなに⁉︎」
「俺と父さんもびっくりしたよ。そもそも、自分の正直な気持ちを父さんに話すこともはじめてだったし」
「わかるよ。なかなか話しづらいよね……」
私の両親は私の意見を優先してくれるけど、それがわかっていてもなにかを相談するときは緊張する。
それが、以前の善のお父さんのようになにも話を聞いてくれなかったらますます話しづらくなる。
「結論でいうと、自分のしたいようにしなさいって言ってくれた。1人暮らしも、大学に行かないで働くことも、とりあえず自分の力でがんばってみなさいって」