無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

そのまま善の手は上がってきてーー私の胸に触れた。
ブラジャー越しだったけど、はじめて人に胸を触られた。
体が硬直するのがわかる……。

その手は背中へと回り、ブラジャーのホックをいとも簡単に外してしまう。

急に開放的になり、私はそこでいったん考えた。

胸を触られてブラジャーを外された。
ということは、次は胸を直接触られるってこと……?

そのとおり、ゆるくなったブラジャーの下から手が入り込んできて善の手はついに私の胸にーー。


しかし、触れることはなかった。



「ごっ、ごめん……っ」



善の胸を勢いよく押し返し、自分の胸の前で腕でバツ印を作りガードした。
善はというと、ハッと我に返ったような反応をしていた。



「こっちこそ、いきなりごめん」

「私も、びっくりしてつい……」



私は起き上がり、外れたブラジャーのホックをつけようとする。
だけど、手が震えてうまくいかない。

それを見かねた善が、「つけるよ」と言って私の背中に移動してつけてくれた。

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