無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

まだ決まっていないみたいだし、善からそのうち話してくれるはず。
それを待とう……。

その日はなにも聞かず、お母さんと善も進路のことについては一切触れなかった。



「私、行きたい大学決まったの」

「おお、どこにしたの?」

「〇〇大学ってところなんだけどね、心理学を専攻しようかなと思って……」

「心理学、いいと思う。凛李は冷静で周りをちゃんと見れるから向いてると思うよ」

「ありがとう、がんばってみる」



善は今働いているカフェで高校を卒業してからも働くんじゃないのかな……。
他の選択肢ができたのかな……。

そんなモヤモヤが残りつつ、次の日を迎えた。

私は古典の先生に頼まれていたクラス全員分のノートを提出するために職員室に来ていた。
無事に提出をし終わり、教室に向かって歩き出す。

その途中には理科室があり、いつもは完全に閉まっているのだけれど、今日はなぜか扉が開いていた。
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