無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
もちろん、これを逃せば両親とアメリカで過ごすことも難しくなってしまうかもしれない。
ということで、善は夏休みの2週間、両親がいるアメリカで過ごすことになった。
普段たくさん働いてくれているからとバイトは快く休ませてくれたらしい。
……これは、お母さん情報。
仲直りしてない私たちは本当にちゃんと話すこともなく、あっけなく2週間の遠距離恋愛を始めたのであった……。
最初こそ、"仲直りもしないでアメリカに行くなんて薄情者……!"と怒りを原動力にして過ごしていた。
しかし、人間というものは本当に深い生き物だと思う。
普段も塾とバイトでそんなにいっしょにいられる時間はなかったはずなのに、同じ屋根の下にも、同じ国にもいないんだと思うとーー無性にさみしくなる。
ごはんを食べるときも、善がいないことが違和感でしかない。
前までは3人か4人で食べることがあたりまえでさみしいと思ったことなんて一度もないのに……今は善がいないだけでごはんが美味しくない。