無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

「凛李、大丈夫? 顔色悪いよ」



瑠月に毎朝そんなふうに心配されるほど、心だけでなく体にも支障をきたしてきた。

会いたい。
善の顔が見たい、声が聞きたい。
……抱きしめてほしい。

離れ離れになっても大丈夫だと思っていた自分はいずこへ。
そんな強気な自分ははるか遠くへ飛んでいってしまった。
今いるのは……ただ善が恋しい私。


電話をすればいいのかもしれない。
メッセージで謝ればいいのかもしれない。
そんな簡単なことなのに、なぜかできない。

だって、あんな威勢を張って距離が離れてても平気でしょ?みたいなことを言ってしまったんだもの。
今さら甘えるようなこと……この私ができるわけない……。


結局、私は意地を張ったまま連絡をできなかった。

善はまだ怒っているのだろうか。
それとも、呆れてしまった?
こんなに価値観がちがうなら、付き合っててもしかたないと思った?

……もしかして、アメリカでかわいい女の子と運命的な出会いをしてしまったとか……⁉︎

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