無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

私らしからぬ被害妄想がどんどんと浮かび、私は日が経つにつれて食欲もなくなり疲弊していった。

帰ってくるのは明後日。
たとえ、どんな話をすることになったとしても、私は今の気持ちを素直に伝えよう。
会いたかったと、さみしかったと、離れ離れになることは想像以上に辛いことだったと……。



この日も朝から夏期講習で夕方の4時に終わり、いつものように塾を出た。

夏休みだからか、駅前の通りは人が多くごった返している。
私は駅に向かって歩き始めていた。


ーーそんなとき、突然肩に手を置かれた。
誰かもわからず、瞬時に振り返る。

そこにいる人物を見て……空いた口がふさがらなかった。

だって、私のすぐ後ろにはここにいないはずの善がいるんだもの。



「な、んで……」

「サプライズ」



私はあまり泣くタイプではない。
涙を流すという行為に体力を消耗させたくないからだ。

だけど、このときだけはそんなこといってられなかった。
私の意思とは関係なく……涙が自然とあふれるように流れた。

< 365 / 390 >

この作品をシェア

pagetop