無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
私らしからぬ被害妄想がどんどんと浮かび、私は日が経つにつれて食欲もなくなり疲弊していった。
帰ってくるのは明後日。
たとえ、どんな話をすることになったとしても、私は今の気持ちを素直に伝えよう。
会いたかったと、さみしかったと、離れ離れになることは想像以上に辛いことだったと……。
この日も朝から夏期講習で夕方の4時に終わり、いつものように塾を出た。
夏休みだからか、駅前の通りは人が多くごった返している。
私は駅に向かって歩き始めていた。
ーーそんなとき、突然肩に手を置かれた。
誰かもわからず、瞬時に振り返る。
そこにいる人物を見て……空いた口がふさがらなかった。
だって、私のすぐ後ろにはここにいないはずの善がいるんだもの。
「な、んで……」
「サプライズ」
私はあまり泣くタイプではない。
涙を流すという行為に体力を消耗させたくないからだ。
だけど、このときだけはそんなこといってられなかった。
私の意思とは関係なく……涙が自然とあふれるように流れた。