無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
私は真面目に受験勉強に取り組んでいた成果もあり……無事、第一志望の大学に合格することができた。
合格発表の日は3月のはじめで、次の日がちょうど高校の卒業式だった。
「このメンバーにもなかなか会えなくなっちゃうなんて寂しくなるなぁ」
流れていない涙をぬぐうフリをする、相変わらずお調子者の日下部くん。
「凛李ちゃん、これから末永く善のことをよろしくね」
まるで善の親のようなことを言ってくる一条くん。
あんまり話す機会はなかったけど、善の大切な友達だから、これからも会うことがあるんだと思うと寂しさはそこまで大きくない。
善と1番仲良い刀夜くんはというと……もちろん愛しの瑠月のところ。
瑠月は刀夜くんといっしょに学校に来れるのが最後ということで、メイクが崩れるほど大泣きしている。
そんな瑠月の彼氏の刀夜くんは、刀夜くんのお父さんが建具屋さんをしているので、将来その仕事を継ぐために専門学校で建具について学ぶらしい。
4月からはそれぞれの道へ進むことになるけど、みんな遠くにはいかないので、善たち4人は集まって遊んだりするんだろう。