無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
おそろいがいやだからとか。そういう意味でおどろいたわけじゃない。
「実はね、私もおそろいのものなの」
私はそう言って、机の引き出しに隠していた茶色い紙袋を出した。
部屋の真ん中にあるローテーブルにその紙袋を置き、善が座ったところで善に差し出した。
「善と出会ってから私の人生は一気に明るくなった。私にとって大切なものも増えたし、勉強以外にも興味を持つようになった。色のない私にたくさんの色をくれてありがとう」
「どういたしまして」
「そんな感謝といってはなんだけど、お小遣いを貯めてプレゼントを買ったので受け取ってください」
「感謝なんていいのに。でも、ありがとう。開けていい?」
「うん」
善は中に入っていた同じ箱を2つ開けた。
そこには、シンプルなシルバーの丸いピアスがある。
しかも2個で1セットなのが、2セットある。
「同じのが2個あるけど……」
「1つは善ので、もう1つは私の」