無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

おそろいがいやだからとか。そういう意味でおどろいたわけじゃない。



「実はね、私もおそろいのものなの」



私はそう言って、机の引き出しに隠していた茶色い紙袋を出した。
部屋の真ん中にあるローテーブルにその紙袋を置き、善が座ったところで善に差し出した。



「善と出会ってから私の人生は一気に明るくなった。私にとって大切なものも増えたし、勉強以外にも興味を持つようになった。色のない私にたくさんの色をくれてありがとう」

「どういたしまして」

「そんな感謝といってはなんだけど、お小遣いを貯めてプレゼントを買ったので受け取ってください」

「感謝なんていいのに。でも、ありがとう。開けていい?」

「うん」



善は中に入っていた同じ箱を2つ開けた。
そこには、シンプルなシルバーの丸いピアスがある。

しかも2個で1セットなのが、2セットある。



「同じのが2個あるけど……」

「1つは善ので、もう1つは私の」

< 379 / 390 >

この作品をシェア

pagetop