無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「え……凛李、耳開いてないよね?」
「開いてない。だから、開けようと思ってピアッサーも買ってきたの」
「……え?」
善はあからさまに"なに言ってんの?"という顔で私の顔を覗き込んできた。
こういう反応をするだろうと想定内なので特に気にしていない。
「善となにかおそろいのものが欲しいなと思って、ネックレスも最初いいなと思ったんだけど、なにを選んだらいいかわからなくて断念」
「……」
「それで、ピアスが思いついたの。すごく離れ離れになるわけじゃないけど、おそろいのものを身につけられたらそばに感じられるかなぁと思って」
「それで、耳も開けちゃおうと」
「うん。それに、ずっとやってみたかったの。怖そうだし痛そうだけど……興味はあったから」
「それで、誰が開けんの?」
「善しかいないでしょ」
善はピアッサーを手に取り、裏に書いてある説明書をジッと眺める。