無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
ピアスを開けてもらうだけでこんなにドキドキするものなの……?
顔も近いし、善がやけに優しいし……耳の痛みよりも私の鼓動の速さのほうが心配なんですけど……。
「反対いくね」
しかし、善本人はそんな私の心情なんてつゆ知らず……さっさともう1つのピアッサーを開封して準備にとりかかった。
さっきと同様、左耳に氷を当てて冷やす。
ピアッサーをセットし、「いい?」と耳元でささやかれた。
な、なんでそこでささやくの……っ⁉︎
「ま、まま待って……っ」
「どうした?」
「どうしたじゃなくて、今のわざとでしょっ」
「なにが?」
「その顔! 確信犯!」
いったん距離をとり善の顔を確認すると……善はニヤニヤを必死で抑えようとしていた。
「だって、凛李耳弱いから」
「な……っ、そ、そんなことないけど……っ。でも、そんなのやっていい理由になんないっ」
「なんで。無意識に反応するのかわいいんだからしょうがないじゃん」