無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

ピアスを開けてもらうだけでこんなにドキドキするものなの……?
顔も近いし、善がやけに優しいし……耳の痛みよりも私の鼓動の速さのほうが心配なんですけど……。



「反対いくね」



しかし、善本人はそんな私の心情なんてつゆ知らず……さっさともう1つのピアッサーを開封して準備にとりかかった。

さっきと同様、左耳に氷を当てて冷やす。
ピアッサーをセットし、「いい?」と耳元でささやかれた。

な、なんでそこでささやくの……っ⁉︎



「ま、まま待って……っ」

「どうした?」

「どうしたじゃなくて、今のわざとでしょっ」

「なにが?」

「その顔! 確信犯!」



いったん距離をとり善の顔を確認すると……善はニヤニヤを必死で抑えようとしていた。



「だって、凛李耳弱いから」

「な……っ、そ、そんなことないけど……っ。でも、そんなのやっていい理由になんないっ」

「なんで。無意識に反応するのかわいいんだからしょうがないじゃん」

< 384 / 390 >

この作品をシェア

pagetop