無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

たしかに、私がプレゼントしたピアスをしている善を想像したら……ニヤニヤしてしまう。
どんなに女の子たちに囲まれていようが、善の耳には私とおそろいのピアスがあるのだから。



「ネックレスも大学につけて行って。お守りだから」

「お守り? なにから守ってくれるの?」

「俺以外の男たち」

「私だよ? 心配いらないよ」

「心配しかしてない。変なのに声かけられたらすぐに言うこと、いい?」

「……わ、わかった」



こんな地味女に声かけてくる人なんてーーと、言いかけたところで言葉を飲んだ。
あまり言いすぎると善に火をつけてしまうから、これ以上は話を大きくしないほうが自分のためだ。

それに、正直こうして嫉妬してくれるのはうれしい……。
と、これも言ったらややこしくなってしまうので言わないでおこう。



「私はこれからも善だけが好きだよ。なにがあっても離れないから」

「俺もこの先ずっと凛李だけが好きだよ。もちろん、離してあげないから」



今日もあざとさ全開の善に、私は敵わないのであった……。



【終わり】
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