無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「え〜それだけ〜? でも、瑠月も刀夜の声聞きたかったんだぁ」
すぐに電話を切った瑠月は、聞いてもいないのに「刀夜が瑠月の声聞きたいから電話したんだって! かわいすぎない⁉︎」と、のろけてきた。
このバカップルの熱々ぶりに私はもう慣れてしまったので、もうなにを言われても「よかったね」と冷静に対応できるようになった。
暗い茶色の髪に、両耳にフープの丸いピアスをつけている刀夜くんは、身長も高く顔も整っているため、必然的に学校では目立っている。
彼が歩くたびに女の子たちが振り返り、彼に見惚れる。
しかし、瑠月が入学してきてからは、どうやら彼女らしいというウワサが一気に広まり、当初はもっぱら刀夜くんと瑠月の話題で持ちきりだった。
今ではだいぶ落ちつき、あまりにも瑠月がかわいいので女の子たちは一歩引いて刀夜くんを眺めているらしい。