無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「いやー、俺ら今日で凛李ちゃんと仲良くなりたいなぁと思っててさぁ」
「凛李ちゃん、今日メイクしてるよね?雰囲気変わってかわいいね」
か、かわいい……⁉︎
この私が……⁉︎
というか、一条くんも日下部くんもさっきまで瑠月のことしか見えてなかったはず。
なんで急に……?
頭の中がはてなだらけでいると、2人の背後から善がゆっくりと近づいてきた。
善は口元に人差し指を当てシーッのポーズをする。
次の瞬間ーー。
浮き輪ごと一条くんをひっくり返し、それに巻き込まれた日下部くんも一緒に頭から水をかぶった。
「ちょっ……善、おまえ急になにすんだよっ」
「なにって、凛李に浮き輪貸そうと思って」
私に浮き輪……?
浮き輪貸してほしいなんて言ってないけど……。
しかし、善は強引に私に浮き輪を被せる。
「ここからどんどん深くなるから、浮き輪ないと危ないだろ」
「あぁ!そういうことね!」
「なら、口で言えよ!溺れさすな!」
「悪い」