無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

濡れた髪をかきあげる仕草がかっこよすぎて……思わず見惚れてしまったのは内緒。

善が浮き輪を片手でつかんでぐいぐいと引っ張り、水の中から出てきて暴れているさっきの2人からどんどん遠ざかっていく。



「おい!あの美人な子どこ行った⁉︎」と、遠ざかりながら小さく聞こえた。



「まさか、善があの2人を沈めたの?」

「ムカついたから」



私に背中を向けたままの善。

その背中がなんだかたくましく見えた……。



「ありがとう」

「うん。それより、なんでそんな水着着てきたの」

「水着?」

「露出度高くない?」

「これは本当は瑠月のなの……。間違えて持ってきちゃって、仕方なくこれを着ることになって……」



善のおかげで、さっきの強面2人が見えなくなるほど遠くに来れた。

一度止まった善は、ゆっくりと私のほうを向く。



「そういうことか。だから瑠月ちゃんっぽいんだ」

< 46 / 390 >

この作品をシェア

pagetop