無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
濡れた髪をかきあげる仕草がかっこよすぎて……思わず見惚れてしまったのは内緒。
善が浮き輪を片手でつかんでぐいぐいと引っ張り、水の中から出てきて暴れているさっきの2人からどんどん遠ざかっていく。
「おい!あの美人な子どこ行った⁉︎」と、遠ざかりながら小さく聞こえた。
「まさか、善があの2人を沈めたの?」
「ムカついたから」
私に背中を向けたままの善。
その背中がなんだかたくましく見えた……。
「ありがとう」
「うん。それより、なんでそんな水着着てきたの」
「水着?」
「露出度高くない?」
「これは本当は瑠月のなの……。間違えて持ってきちゃって、仕方なくこれを着ることになって……」
善のおかげで、さっきの強面2人が見えなくなるほど遠くに来れた。
一度止まった善は、ゆっくりと私のほうを向く。
「そういうことか。だから瑠月ちゃんっぽいんだ」