無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
とてもじゃないけど信じられない。
瑠月に対して言ったんじゃなくて?
「こんな私にそんなこと言うはずないよ。聞き間違えたんじゃない?」
「なんでそう思うの」
「なんでって……こんな地味な私がかわいいわけないから」
「……」
「かわいい担当は瑠月なの。私はどう見たって地味担当でしょ?」
引き立て役……それが私の役目なの。
生まれながらに人にはそれぞれ個性があって、役目があるものだと思っている。
「凛李は自分で気づいてないんだ」
善が浮き輪の上に両腕を乗せ、私に近づく。
「俺は、凛李のほうがかわいいと思うよ」
な、なな……なに急に……⁉︎
凛李のほうがって、誰と比べてるのかなんてわからないのに、勝手に頭の中で瑠月とだと解釈してしまう。
「さっきの雪と爽馬が凛李に話しかけたときに、なんで俺が邪魔したかわかってる?」
「……浮き輪を私に貸すためでしょ?」
「そんなの口実だよ」