無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
ということでみんなお昼を買いに行ってしまい……偶然にも善と2人きりになった。
善はプールで疲れたのか、テントの中で横になっている。
私はレジャーシートに座っていたのだが、さんさんと照り続ける太陽が熱くて……私は逃げるようにテントに入った。
狭い空間で気まずかったけど、暑さには勝てない。
私が隣に座ると、善が急に起き上がってきた。
「さっき着てたパーカーは?」
「パーカーならここにあるけど……」
私は後ろに置いてある自分のパーカーを指さす。
善は顔色ひとつ変えずに私の目の前を横切り、私の後ろにあるパーカーに手を伸ばした。
善から香ってくるムスク系の甘い香りが、私を惑わす……。
近い近い……っ。
私は思わず目をギュッとつぶった。
「はい、腕伸ばして」
「……へ?」