無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


「え?ほんとにイチャイチャしてたのか?」



目を丸くする刀夜に善は……。



「ヒミツ」とドヤ顔で言った。



「いやいやっ、してないからっ!」

「凛李、そうやって必死になるほうが逆に怪しがられるよ」

「そうなのっ⁉︎って、本当にイチャイチャなんてしてないじゃない!」



私が全力で否定しても……そのあとしばらくからかわれた。

私の反応を見て楽しんでる善は、なにがしたいのかまったく読めない。

……でも、善にかわいいと言われて素直にうれしかった。

初めて女の子に生まれてよかったなと思えたかもしれない。

……たとえ、それが私を励ますための言葉であったとしても、善から言われたというだけで価値があるような気がした。



そんなこんなで、友達との初めてのプールは意外にも楽しく終わった。


< 55 / 390 >

この作品をシェア

pagetop