無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

特別に近くで見ていいよ


あっという間に夏休みも残り1週間を切った。



「この前、隣駅の近くでオシャレなカフェ見つけたの!一緒に行かない?」



いつものようにリビングのソファで小説を読んでいると、瑠月がそう声をかけてきた。

実は……私は無類の紅茶好きで、その誘いを断る理由がない。



「行きたい」



即答し、その日のお昼過ぎに瑠月と2人でそのカフェへ行くことになった。

私たちの家から駅までは徒歩15分。

その隣駅から歩いてすぐのところに外観からオシャレなカフェがあった。


入り口の扉を開け、まず目に飛び込んできたのはーー。



なんと、ウェイター姿の善だった。

あからさまに嫌な顔をする善に席を案内された。



「ここで働いてること絶対刀夜たちに言うなよ」

「言わないよ、信じて」



小声でそう釘を刺され、よほどこのウェイター姿を見られたくないんだと悟った。

黒の七分袖のシャツに、クリーム色の腰エプロンをしているからか、すごく雰囲気が大人っぽくて男の色気が出ている気がする……。

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