無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
そこへすぐにかけつけたのは善で……「お客様はおケガしませんでしたか?」と、まずお客さんたちの心配をした。
「あとは俺がやるから」と言って女の子をその場から離れさせる。
善が普段テキパキと動いてるところなんて見たことがないから、こうして働いてる姿だったり助ける姿を見ると、印象がだいぶ変わるかもしれない。
「そろそろ行こっか」
「うん。最後にトイレだけ行ってくる」
私は奥にあるトイレへと向かった。
トイレから出てくると……そこには善がいた。
「ここで働いてるの知ってたわけじゃないんだよな?」
「もちろん、私が紅茶好きだからって瑠月が連れてきてくれたんだよ。そしたらたまたま善が働いてたんだよ」
「ふーん」
「それにしても、その格好本当に似合ってるね。かっこいい人はなんでも似合うからいいなぁ」
善は「じゃあさ……」と言って、私の目を凝視し距離を縮めてきた。