無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「もし凛李が他の男といたら、俺はやだ」
善に背を向けているため、善が今どんな表情なのかわからない。
……それって、どういう意味?
ヤキモチを焼くってこと……?
「でも、善にはキスできる女の子がたくさんいるんでしょ。それなら、私が他の男の子といてもいいはずでしょ……」
「もうそういうことしてない。連絡先も消した」
「え……?」
私は善のほうへ振り向いた。
女の子と遊ぶのをやめたと知り、内心うれしい自分がいる。
めんどくさくなってやめたってこと……?
「峰本を送ってったのも、今日が初めてだから」
「……」
「凛李が嫌なら、もうしない」
「……別に、善が誰を送ろうが私には関係ないことだし……」
私がそう言った瞬間ーー。
座ったままの善が私の手首を引っ張り、自分のほうへと引き寄せた。
急に近づき、鼓動の速さが増すーー。
「関係ないとか言われると、傷つくんだけど」
そう言って私を見上げる善。
アッシュグレーの髪からのぞく長いまつ毛と薄い茶色の瞳に高い鼻筋……あまりに整ったその顔に思わず見惚れてしまう。