無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
私はそのタイミングで緊張でお腹が痛くなってきてしまい、出くわさないようにと2階のトイレへ。
トイレから出ると、下から話し声が聞こえた。
ゆっくりと降りていき、私は階段に隠れた。
そこからリビングの様子を伺っていると……「おい」と突然声をかけられた。
「へ……っ⁉︎」
私はびっくりし、壁に頭をぶつけてしまった。
足しか見えないその人は、しゃがみ込む私を心配する素ぶりなし。
足の大きさからして、ここでいっしょに暮らす男の子だろう。
居候させてあげるんだから立場はわかってもらわないと……っ。
一言文句でも言ってやろうと顔を上げた私は……開いた口が塞がらなかった。
目の前にいるのはーー学校でいつもウワサされている柊木 善(ひいらぎ ぜん)。
目立つグレーアッシュ色の髪の毛に、両耳に丸型のピアスを1つずつつけている。