無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
善はそう言って子どものようにクシャッと笑う。
好きな人にこんな風に触られたらドキドキが止まらなくなってしまう。
……そんな私の気も知らないで、善は思うがままに生きているんだろうなとかそんなことを考えてしまった。
私は再び善のとなりに座り直した。
「凛李の髪の毛ってキレイだよね。一度も染めたことないんだっけ?」
すると、今度は善が私の髪の毛を触ってきた。
「……ないよ」
「心と一緒で髪の毛も純粋無垢ってことか……いいね」
「え? いいね……?」
「凛李はこれから何色にでも染まるってことでしょ? 男としては気になる子を自分色に染めたいもんなんだよ」
急に髪の毛を触ってきたと思ったら、男という生き物について教えてもらえた。
……しかし、そんな情報よりも、善にとっての気になる子というものが気になってしまう。
いやいや、気になってる場合じゃない!
早くこの状況から脱出しなければ……!