無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「もうすぐ教室に戻ろっか……」
これ以上善といると心臓が持ちそうにないので、しれっと立ち上がろうとした私。
……しかし、善に腕をつかまれてしまったためそれは叶わなかった。
「なんでしょうか……」
「もう1個ご褒美ちょうだい」
「……え……?」
「ひざ枕してくれる?」
男の子たちから助けてもらって感謝してる。
……私は、善に恩返しをしたい。
私は大人しく従い、お姉さん座りをしてひざをポンポンと叩いた。
それを合図に善が寝転がってきて、髪の毛が直接太ももに触れてくすぐったい。
……というか、私は文化祭でいったいなにをしているんだろう。
きっと私1人くらいいなくても平気だろうけど、こんなサボるようなことを今までしたことがないから後ろめたさでいっぱいだ。
でも、不思議といやじゃないのは……善といるからかもしれない。
横を向いていた善が突然顔を上げたため、目が合った。
善は私の巻かれている髪の毛を優しく触る。
「くるくるしてる」
「同じクラスの子が巻いてくれたの」
「メイクも?」
「うん」
「いつもより濃い」
「どう……?」